小児の検査について

小児科の検査について、入園前・就学前によく相談のあるアレルギー検査血液型検査の説明です。「検査できますか?」との問い合わせがありますが、子どもの検査については、お話ししてから決めています。

アレルギー検査

院内掲示板にも以前から掲示しておりますが、検査結果が必ずしも症状とあわないことがあります。検査結果が陰性でもアレルギーが起きないという保証はないですし、軽度陽性が出たからアレルギーが出るので食べられないということでもありません。採血結果と摂取状況をみて、必要に応じて経口負荷試験を行います。
まだ一部の園や学校で、実際の摂取状況や経口負荷試験の結果を無視して、アレルギー症状が出ないことの証明に陰性の結果が欲しいとか、陽性が出ているから食べさせられないと言われた、という話を聞きます。こういうところでは、採血結果ですべて決められているところがありますが、当院ではそのようなことはしておらず、総合的に判断しています。
「過去にアレルギーが出た」との申告をしたために、その話に白黒つけるための検査を目的に行うものでもありません。検査結果が陰性ということよりも、今食べられているということの方が、よっぽど信頼性があります。
また、臨床的にアレルギーが「ない」という書類は書けますが、アレルギーが「絶対出ない」という書類は作成できません。こんな書類はどこも作れないとは思いますが…。

血液型検査

以前は産院で出生時に行われることもありましたが、1歳未満は値が安定せず、ほとんどのところでは行われなくなりました。また輸血などを含めた「必要な時」には、その際に採血を行い、自己申告の血液型は間違っていたら大変なことになるので利用しません。
そのため、手術前でもないのに「もしも」の時のために検査しておくことは意味がありません。まだ一部の園や学校で、「血液型」の欄が残っており、それを記入するために採血を希望されることがありますが、必要ないことがほとんどなので、一度問い合わせてみましょう。

検査を制限することについて

当院は医師会の指導によりアレルギー科を標榜しておりませんが、通常の小児科診療は行っており、小児アレルギー専門医でないのにアレルギー科を標榜している小児科と遜色ないレベルを提供できると考えております。
採血が下手なのでは?という意見を聞いたことがありますが、勤務医時代は子どもの心臓カテーテル検査・治療とその指導も行っていた経験もあり、小児科医としてそれなりの技術を身に着けていると自負しております。
検査を行いたくないのではなく、そもそも必要な検査に絞っているからです。
当院をよく知る人はご存じかとは思いますが、むしろ処置は積極的に行っています。やはり採血をされることは子どもたちにとっては大きな負担です。むしろ、このような話をすること自体がめんどくさいとか、収益を上げることより、検査自体が積極的に行われていないか心配しています。当院では時間をかけてアレルギー採血の意義について理解してもらってから行っています。

園や学校にとって、責任を負いたくない気持ちからだとは思いますが、意味のない結果を求めて、大人の事情で不必要な検査が行われることは、子どもを守る小児科医として良くないと思っています。
各方面からのツッコミに対応するためにお堅い文章となってしまいましたが、正しい理解のある人が子ども達を育ててくれることを望みます。

なお、検査を行わない場合でも受診してお話しすることができます。やはり園から言われてしまった、もう少し話が聞きたいなど、それでも相談に来る人はいます。一緒に子どもにとって良いことを見つけていきましょう。